食べていないのに痩せない人へ|「隠れ栄養失調」から考える食事バランス
- medicalphysiolab
- 4 日前
- 読了時間: 14分

「食べていないのに痩せない…」そんな悩みはありませんか?
「ご飯は半分しか食べていません。」
「夜はサラダだけにしています。」
「お菓子も以前よりずっと我慢しています。」
Medical Physio Lab.でダイエットのご相談を受けると、このようなお話をされる方は少なくありません。
しかし、食事内容を詳しく伺ってみると、多くの方に共通していることがあります。
それは、
「食べ過ぎている」のではなく、「身体に必要な栄養が不足している」
ということです。
ダイエットというと、「食べる量を減らすこと」が最も大切だと思われがちです。
もちろん、体脂肪を減らすためには摂取カロリーと消費カロリーのバランスが重要です。
しかし、カロリーだけを意識して食事量を減らした結果、
疲れやすくなった
集中力が続かない
運動する気力が湧かない
以前より痩せにくくなった
という経験はありませんか?
実は近年、このような状態を説明する考え方として、世界的に注目されている言葉があります。
それが**Hidden Hunger(隠れ栄養失調)**です。
この記事では、「食べる量」ではなく、「食事のバランス」という視点から、健康的に痩せるために本当に必要な栄養の考え方について解説していきます。
ダイエット=糖質制限。本当にそれでいいのでしょうか?
ここ数年、「糖質制限」という言葉を耳にしない日はないほど、多くの人に知られるようになりました。
コンビニには糖質オフの商品が並び、SNSでは、
「白米は太る」
「夜は炭水化物を抜いた方がいい」
「パンよりサラダ」
といった情報が日々発信されています。
その影響もあり、「ダイエットをするなら、まず糖質を減らそう」と考える方が非常に増えました。
しかし、本当に見直すべきなのは糖質なのでしょうか。
以前の記事でも紹介したように、通常の食生活では、糖質を直接体脂肪へ変える割合(De Novo Lipogenesis)はそれほど高くありません。
一方で、食事から摂取した脂質は、余剰エネルギーとなった場合、比較的効率よく体脂肪として蓄えられることが知られています。
もちろん、これは「糖質はいくら食べても太らない」「脂質が悪者だ」という意味ではありません。
栄養素にはそれぞれ重要な役割があり、どれか一つを極端に制限することが健康的なダイエットにつながるわけではないのです。
私たちがダイエット指導を行う際も、「まず糖質を抜きましょう」とお伝えすることはほとんどありません。
むしろ、適切な量のご飯を食べていただくケースの方が多いくらいです。
すると、多くのお客様が驚いた表情でこうおっしゃいます。
「先生、本当にこんなにご飯を食べていいんですか?」
「こんなに食べたら太りませんか?」
この反応は決して珍しいものではありません。
それだけ、「食べないこと=ダイエット」という考え方が私たちの中に深く根付いているのです。
現代は「食べ過ぎ」の時代ではなく、「栄養が偏りやすい時代」
私たちは、これまでで最も食べ物が豊富な時代を生きています。
24時間営業のコンビニ。
手軽に買えるスーパーのお惣菜。
冷凍食品やデリバリーサービス。
忙しい毎日でも、簡単に食事を済ませられる便利な環境が整っています。
しかし、その便利さの裏側では、別の問題も起きています。
スーパーのお惣菜コーナーを思い浮かべてみてください。
唐揚げ、コロッケ、とんかつ、天ぷら、クリームコロッケ……。
「安くておいしい」と感じる食品の多くは、揚げ物や植物油脂を使った加工食品です。
一方で、
鶏むね肉
白身魚
野菜
豆類
きのこ
海藻
など、身体に必要な栄養素を多く含む食品は、油を多く使った料理と比べると満足感を得にくく、「少し物足りない」と感じる方も少なくありません。
さらに近年は原材料価格の高騰や円安の影響もあり、安価で満足感を得られる加工食品を選ぶ機会は以前より増えています。
つまり現代では、
少ない量でも高カロリーな食品は簡単に食べられる一方で、身体に必要な栄養素は不足しやすい。
そんな食環境になっているのです。
世界で注目される「Hidden Hunger(隠れ栄養失調)」とは?
「栄養失調」と聞くと、痩せ細った人を想像する方が多いかもしれません。
しかし現在、世界保健機関(WHO)などの国際機関でも問題視されているのは、少し違うタイプの栄養不足です。
それが**Hidden Hunger(隠れ栄養失調)**です。
Hidden Hungerとは、
カロリーは十分、あるいは過剰に摂取しているにもかかわらず、ビタミンやミネラル、食物繊維など、身体に必要な栄養素が不足している状態を指します。
つまり、
「太っているから栄養は足りている」
とは限らないのです。
近年では、食生活の質と健康との関係について多くの研究が進められています。
肥満や糖尿病、心血管疾患だけでなく、食生活とメンタルヘルスとの関連を研究する「栄養精神医学(Nutritional Psychiatry)」という分野も発展してきました。
もちろん、食事だけで健康のすべてが決まるわけではありません。
睡眠や運動、ストレス、遺伝など、さまざまな要因が関係しています。
それでも、「身体をつくる材料」である食事が、日々の体調や活力に大きく影響することは、多くの研究から明らかになってきています。
人間の身体はスマートフォンとよく似ています
ここで一つ、身近なもので考えてみましょう。
皆さんが毎日使っているスマートフォンです。
スマートフォンは、バッテリーが100%充電されていれば最高のパフォーマンスを発揮できるでしょうか。
もちろん違います。
高性能なCPU。
十分なメモリ。
最適化されたOS。
安定した通信環境。
これらすべてが揃って初めて、スマートフォンは本来の性能を発揮できます。
人間の身体も同じです。
糖質は身体を動かすための「バッテリー」。
タンパク質は筋肉や臓器などをつくる「部品」。
脂質は細胞膜やホルモンをつくる重要な「材料」。
ビタミンやミネラルは、それぞれの栄養素が正しく働くための「OS」。
食物繊維は腸内環境を整え、身体全体のコンディションを支える「メンテナンス機能」。
どれか一つだけが優れていても、本来の性能は発揮できません。
逆に、必要な栄養がバランスよく揃うことで、身体は活発に動き、運動し、考え、日々の生活を送ることができます。
ダイエットとは、単にバッテリーを減らすことではありません。
身体という「高性能なスマートフォン」が、本来持っている力を最大限に発揮できる状態をつくることです。
そのためにまず知っていただきたいのが、次章でご紹介するPFCバランスという考え方です。
第2章 身体が本来の力を発揮するために必要な「PFCバランス」とは?
前章では、世界的にも問題視されている**Hidden Hunger(隠れ栄養失調)**についてご紹介しました。
食べる量は十分でも、身体に必要な栄養素が不足していれば、本来のパフォーマンスを発揮することはできません。
では実際に、私たちは何をどのくらい食べれば良いのでしょうか。
その答えの一つが、PFCバランスという考え方です。
PFCとは、
P(Protein)=タンパク質
F(Fat)=脂質
C(Carbohydrate)=炭水化物(糖質)
この三大栄養素の頭文字を取った言葉です。
これらはどれも身体にとって欠かすことのできない栄養素であり、どれか一つだけを極端に増やしたり減らしたりすれば良いというものではありません。
だからこそ、厚生労働省は「○○だけをたくさん食べましょう」とは言わず、三大栄養素全体のバランスを重視しています。
厚生労働省が推奨するPFCバランス
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、一般的な成人のエネルギー摂取比率の目安として次のような割合が示されています。https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
炭水化物:50~65%
タンパク質:13~20%
脂質:20~30%
もちろん、年齢や運動量、妊娠・授乳、病気の有無などによって適切な割合は異なります。
しかし、多くの健康な成人にとっては、この範囲が身体の機能を維持しやすいバランスと考えられています。
この数字を見ると、
「え?ご飯ってこんなに食べていいんですか?」
そう思われる方も少なくありません。
実際、Medical Physio Lab.でもダイエット指導の際にこの割合をご説明すると、
「こんなに食べたら太ると思っていました。」
「今まで糖質を減らしすぎていました。」
という声をよくいただきます。
身体は三大栄養素が協力し合うことで、初めて本来の機能を発揮できるからです。
スマートフォンと同じように、身体も「バランス」で動いている
第一章で、身体をスマートフォンに例えてお話ししました。
スマートフォンは、バッテリーだけ満充電でも快適には動きません。
CPU、メモリ、OS、通信環境など、すべてが正常に働いて初めて高い性能を発揮できます。
人間の身体も同じです。
糖質だけ食べても健康にはなれません。
タンパク質だけを大量に摂っても筋肉は思うようにつきません。
脂質を極端に減らしてしまえば、ホルモンや細胞は正常に働きにくくなります。
つまり、身体はそれぞれの栄養素が適切な割合で揃って初めて、本来の性能を発揮できるのです。
そのため、「糖質は悪」「脂質は悪」といった一つの栄養素だけを悪者にする考え方は、健康的な身体づくりにはあまり適しているとは言えません。
炭水化物(糖質)は身体を動かすエネルギー
ダイエットをすると、多くの人が最初に減らそうとするのが炭水化物です。
しかし、炭水化物は身体にとって最も利用しやすいエネルギー源です。
脳は通常、ブドウ糖を主要なエネルギー源として利用しています。
また、筋肉も運動時には糖質を優先的に使います。
そのため、炭水化物が不足すると、
集中力が続かない
疲れやすい
トレーニングの質が落ちる
日常生活で活動量が減る
などの変化が起こりやすくなります。
「糖質を抜いたら体重が落ちた」という方もいますが、その多くは体内のグリコーゲンや水分が減った影響です。
もちろん糖質の摂り過ぎは体重増加につながる可能性があります。
しかし、だからといって極端に減らしてしまえば、身体は十分なエネルギーを得られず、本来のパフォーマンスを発揮できません。
大切なのは「糖質を抜く」ことではなく、「必要な量を適切に摂る」ことなのです。
タンパク質は身体をつくる材料
タンパク質は筋肉だけの栄養ではありません。
皮膚、髪、爪、内臓、血液、免疫細胞、さらには酵素やホルモンなどもタンパク質から作られています。
つまり、人間の身体はタンパク質を材料として常に新しく生まれ変わっています。
不足すると、
筋肉量の低下
基礎代謝の低下
ケガの回復が遅れる
免疫力の低下
などにつながる可能性があります。
ダイエット中は特に、筋肉を維持しながら脂肪を落とすためにタンパク質の摂取が重要になります。
一方で、「タンパク質だけをたくさん摂ればいい」というわけでもありません。
筋肉を作るためには、エネルギー源となる糖質や、身体の働きを支えるビタミン・ミネラルも必要です。
どれか一つだけではなく、他の栄養素との連携があってこそ、タンパク質は十分に活かされるのです。
脂質は悪者ではない
脂質というと、
「太る原因」
というイメージを持たれる方が多いかもしれません。
確かに脂質は1gあたり9kcalと、三大栄養素の中で最もエネルギー量が高いため、摂り過ぎれば体脂肪の増加につながりやすくなります。
しかし、脂質は身体にとって欠かせない栄養素でもあります。
細胞膜。
脳。
ホルモン。
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収。
これらは脂質なしでは正常に機能しません。
つまり、脂質は「減らすべき栄養素」ではなく、「適切に選び、適切な量を摂るべき栄養素」です。
青魚に多く含まれるEPAやDHA、ナッツ類の不飽和脂肪酸、オリーブオイルなどは健康維持にも役立つことが知られています。
一方で、揚げ物や加工食品に偏った脂質の摂り方は、摂取カロリーが増えやすく、栄養バランスも崩れやすくなります。
脂質を敵と考えるのではなく、「どんな脂質を、どのくらい摂るか」を意識することが大切です。
「食べない」ではなく、「整える」という考え方
ダイエットを成功させるために必要なのは、極端な制限ではありません。
糖質を抜くことでも、
脂質をゼロにすることでも、
タンパク質だけを食べ続けることでもありません。
身体は、それぞれの栄養素が適切な割合で揃って初めて、本来の性能を発揮します。
だからこそ、Medical Physio Lab.では「食べないダイエット」ではなく、「身体が必要とする栄養をしっかり満たしながら整える」という考え方を大切にしています。
次章では、三大栄養素だけでは語れない、ビタミン・ミネラル・食物繊維の重要な役割について詳しくご紹介します。
第3章 三大栄養素だけでは足りない。「隠れ栄養失調」を防ぐために必要な栄養素
ここまで、身体に必要な三大栄養素(PFCバランス)についてお話ししてきました。
しかし、実はこれだけでは身体は十分に機能しません。
第一章でご紹介した**Hidden Hunger(隠れ栄養失調)**の多くは、ビタミンやミネラル、食物繊維などの不足によって起こるからです。
糖質やタンパク質、脂質を「主役」とするならば、ビタミンやミネラルは、その主役が力を発揮するための「サポート役」です。
どれだけ高性能なエンジンを積んだ車でも、エンジンオイルや冷却水がなければ正常に走ることはできません。
人間の身体も同じです。
三大栄養素だけでは、本来の力を十分に発揮することはできないのです。
ビタミン・ミネラルは「身体を動かすスイッチ」
ビタミンやミネラルは、エネルギーそのものにはなりません。
しかし、糖質や脂質、タンパク質を利用するためには欠かせない存在です。
例えば、
ビタミンB群は糖質や脂質をエネルギーへ変える働きを助けます。
鉄は全身へ酸素を運ぶために必要です。
カルシウムやマグネシウムは筋肉や神経の働きに関わります。
亜鉛は細胞の修復や免疫機能を支えています。
これらが不足すると、
疲れやすい
集中力が続かない
回復しにくい
運動しても思うように成果が出ない
といった状態につながる可能性があります。
「食べているのに元気が出ない」
そんな方は、カロリーではなく栄養素の種類が不足しているのかもしれません。
食物繊維は「腸を整える栄養素」
食物繊維というと、「便秘改善」というイメージが強いかもしれません。
もちろん、それも大切な役割です。
しかし近年では、腸内環境が全身の健康に深く関わることがわかってきました。
腸内細菌は食物繊維を利用して短鎖脂肪酸という物質を作り出します。
この短鎖脂肪酸は、
腸の健康維持
血糖値の調整
満腹感の維持
炎症の抑制
など、さまざまな働きに関係しています。
つまり、食物繊維は「お腹のための栄養素」ではなく、身体全体の健康を支える重要な栄養素なのです。
あなたは大丈夫?「隠れ栄養失調」チェックリスト
次の項目に当てはまるものはありませんか?
□ 野菜はほとんど食べない
□ 朝食を抜くことが多い
□ コンビニや外食が週4回以上ある
□ 揚げ物を食べる機会が多い
□ お菓子やジュースを毎日摂る
□ ダイエット中だから主食をほとんど食べない
□ 疲れやすい
□ 便秘気味である
□ 肌荒れしやすい
□ 運動しても成果が出にくい
複数当てはまる方は、カロリーだけでなく、栄養バランスを見直してみる価値があるかもしれません。
毎日の食事で意識したいポイント
栄養バランスというと難しく感じるかもしれません。
しかし、特別な食品を買う必要はありません。
まずは、
「一汁三菜」
を意識するだけでも大きく変わります。
例えば、
【朝食】
・ご飯
・納豆
・味噌汁
・卵
・ヨーグルト
【昼食】
・ご飯
・焼き魚または鶏肉
・サラダ
・味噌汁
【夕食】
・ご飯
・豚しゃぶ
・野菜のおかず
・きのこ料理
・海藻
このような昔ながらの和食は、自然とPFCバランスだけでなく、ビタミン・ミネラル・食物繊維も摂りやすい食事になります。
「○○を食べれば健康になる」という魔法の食品はありません。
毎日の食事を少しずつ整えることが、長く健康を維持する近道です。
ダイエットは「減らす」より「満たす」
この記事では、
Hidden Hunger(隠れ栄養失調)
PFCバランス
ビタミン・ミネラル
食物繊維
についてご紹介しました。
最後に一つお伝えしたいことがあります。
ダイエットは、
「食べないこと」ではありません。
身体が必要とする栄養をしっかり満たし、そのうえで適切なエネルギーバランスを保つこと。
それが健康的に身体を変えるための基本です。
実際にMedical Physio Lab.へ来られるお客様も、
「もっと食べた方がいいですよ。」
とお伝えすると驚かれることが少なくありません。
しかし、食事量だけでなく、栄養の質やバランスを整えることで、
「疲れにくくなった。」
「運動が続けやすくなった。」
「以前より無理なく体重が落ちた。」
という変化を感じられる方も多くいらっしゃいます。
もちろん、身体の状態は人それぞれ異なります。
同じ年齢・同じ体重でも、
筋肉量や活動量、
生活習慣、
既往歴、
目標によって必要な栄養量は変わります。
そのため、本当に自分に合った食事を知るためには、「何を食べるか」だけでなく、「今の身体がどうなっているか」を知ることが大切です。
Medical Physio Lab.では、理学療法士の視点から姿勢や身体の動き、筋肉量、生活習慣まで含めて評価し、一人ひとりに合わせた運動や食事のアドバイスを行っています。
「自己流のダイエットで結果が出ない。」
「何を食べればいいのかわからない。」
「健康的に身体を変えたい。」
そんな方は、一人で悩まず、ぜひ一度ご相談ください。
食べることを我慢するのではなく、身体が本来持っている力を引き出すお手伝いをさせていただきます。




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